2020年末のご挨拶

平素当クラブの活動にご理解をいただきましてありがとうございます。

2020年シーズンは新型コロナウィルスという、私たちの日常生活まで大きく変える脅威と戦うことから始まる一年となりました。

罹患されて志半ばで亡くなられた方、また回復しても後遺症などに苦しむ方、心よりお悔やみ・お見舞いを申し上げるとともに、医療の現場で新型コロナウィルスと戦っている医療関係者の皆様に感謝を申し上げます。

さて、そのような状況の中、選手たちは今年も頑張ってくれました。

何よりもチーム内で感染し、その活動を止める者が現れなかったことが何より嬉しいことです。

野球そのものの必要性を考えるきっかけになった自粛期間、家庭・職場そして社会から何度となく「不要・不急」という言葉によってこのスポーツが除外される辛い思いをしたことと思います。選手たちにとって野球は単なる体を動かして行う運動ではなく、心の豊かさにもつながる大切な生活の一部です。時間とお金とそして多大なるエネルギーを費やして自分の人生や生活をよりよいものにしていこうというかけがえのない活動です。極端な言い方をすれば「会いたい人に会えない」のと同じくらい「野球をしたいのにできない」ことは辛かったであろうと思います。

一方で、免疫を高めるためには「運動」が推奨されていることも事実としてあります。誰も経験したことのない、道しるべもほとんど無い中での自粛明けに向けた、そしていつ始まるかもわからない大会に向けた個々の取り組みは本当に大変であっただろうと思います。

そのような状況でもなんとか8月の都市対抗一次予選を行うことができ、二次予選(西関東予選)に進むことができました。例年ですと私たちの家ともいうべき横浜スタジアムに、日頃応援してくださっている方々を招いてその勇姿をご覧いただく大会という位置付けも付加される内容になるのですが、「無観客」という形での開催によって観ていただくことができませんでした。とはいえ、その大会の開催のために何度となく打ち合わせを重ね、考えうることを想定し準備していただいた県協会関係者・毎日新聞様などには感謝の言葉しかありません。大会に向けて、限られた人数と時間の中、共に戦った選手たちにはとても良い経験になりました。

私は日頃の活動中、選手に対して厳しい言葉を出すことが多かったように思います。今時の指導者のように褒めて褒めてやる気にさせるようなやり方ではありません。もしも全日本クラブ選手権でベスト8になったことに満足してしまい、勝利を続けることがいかに難しいことかを忘れ、仲良しこよしのチームとなってしまえば、その途端に弱くなってしまうことを懸念していたからです。仲良しこよしのチームが弱くなるのはすでに自分が若かった頃に経験済みであり、それを立て直すのに軽く10年を超える時間を要することがわかっていたからです。個々人によって方法はまちまちだと思いますが、私の場合、期待を持てるような選手には特に厳しく指導するようにしていました。また、選手だからといってただグランドの中で野球をすれば良いのではなく、グランドにいない時にもチームに貢献することを求めていました。そうでなければ誰か一人に度を超えた負担が発生し、生活を豊かにするどころかその逆にもなり得るからです。そのような私的な集まりがクラブチームなのです。

チームとしてはあくまでも私的な集まりですが、一歩離れれば構成メンバは全て社会の一員です。どの社会に所属しようともその組織に貢献できる。常に主体的に考え、行動し、結果を出す。私の中では失敗も結果の一つで、それを次に生かすことができればそれも貢献の方法の一つだと考えていました。そんな人が一人でも多くうちのチームのメンバであれば強い組織でいることが出来るのではないかと考えていました。幹部に何かをお願いする際の指示をするときもまるで会社の上司のような振る舞いだっただろうと思います。「たかが野球のことなのになんでここまで求められるのか」と思った幹部もいたかもしれません。

私には「ハイボール理論」というのがあります。野球でいう「高めのボール」ではなく、ウィスキーのソーダ割りのことを指します。笑

何かと言うと、ハイボールはそれを構成する内容だけ分かればほぼ誰でも作ることができます。グラスはもちろん、ウィスキー、ソーダ、氷で構成されます。次に作り方ですが、イマドキはインターネットでどんなでも検索することができます。ですので「誰でもある程度美味しいハイボールを作る」ことはカンタンです。

野球も同じで、選手、グランド、道具があれば練習はできますし、そこに対戦相手、審判が加われば試合もできます。

しかしどうでしょうか。ハイボールを真剣に作ろう。少しでも美味しいハイボールを飲んで喜んでもらおうと思えば、グラスの選定、冷やし方やその温度、どのウィスキーを選ぶか、どのソーダを混ぜれば美味しいか、出す方法は?氷の選定や形は?などなど検討することや行うことはとても増えていきます。そう、奥が深いんです。その深いところを追求していくことが成長や向上、発展につながると思うんです。

野球に関して、私は出来るだけ美味しいハイボールを作るのと同じ思考で臨むように心がけました。選手集め、グランドの手配、試合相手の組み方、予算、練習内容、試合での選手起用、協力してくださる外部の方々、対戦相手のことなどなど挙げればまさにキリがありません。しかしながら好きでやっていることですからさほど苦ではありませんでした。やればやるほど、勝った時の喜び(正確にいうとこのチームでの勝利は喜びというよりは安堵感の方が明らかに勝っていましたけど)が大きいことを知っているからです。

そうした意味ではやはり準備が大切ということになります。チームを運営していくマネジメント側になると圧倒的にグランドにいる時間よりもそれ以外の時間の方が長くなります。そうした意味では単なる野球チームの監督ではなく、伝統と実績のある横浜金港クラブで監督をさせていただいたことは本当に誇りの一つです。

9月の都市対抗予選で敗退した時、一次予選と西関東予選の2試合連続で完封負けだったのですが、これは紛れもなく監督の責任です。しかしクラブチームという枠組みの中で、「責任」とはどういうことか、「責任を取る」とはどういうことか、その大会の結果だけに関わらず、常に自分に問いかけていたように思います。

初代山ロ久像オーナー、二代目の山ロ和宏オーナー、歴代監督、永年チームを切り盛りしてくださった葛西さん、鳥山さん、チームの先輩方など、大変多くの方々にとても可愛がっていただきました。その方々に少しでも報いたい、少しでも美味いハイボールを作りたいと思って取り組ませていただいたこの3年3ヶ月をもちまして監督を退任いたしました。あまりチームのお役に立てたという実感はありませんがここら辺でバトンパスをさせていただきます。野球そのものはまたどこかの場所にて続けるつもりです。

関係者の皆様には個別にご報告申し上げるところ、このような形となりましたことお詫び申し上げます。

引き続きまして横浜金港クラブのことをどうぞよろしくお願いいたします。

最後の最後で補足ですが、私はハイボールは実際には作りません。笑 あくまでも理論上の必要性から用いているだけでして、飲む方が100倍好きです。。。

2021年がすべての皆様にとって健やかで実り多き年になりますよう、本気の本気で思いを込めまして、これにて失礼申し上げます。誠にありがとうございました。

露木文吾

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